細胞製造向けクリーンウエア開発のお知らせ

2019/06/27

細胞製造向けクリーンウエアの開発について


このたびオンヨネ株式会社は、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構(兵庫県神戸市、理事長:本庶佑、以下「FBRI」)細胞療法研究開発センター(川真田伸センター長)と共同で細胞製剤、ウイルス製剤、抗体医薬などクリーンルーム内での緻密な作業に適した作業衣服(以下、「クリーンウエア」)を開発しました

細胞製造向けクリーンウエアの開発について

背景
細胞製剤の製造では、細胞加工施設(Cell Processing Center、以下「CPC」)内のクリーンルームの清浄度を維持するため、清浄度区分に応じてクリーンウエアを二重、三重に着用して作業が行われます。このため、作業者は暑さと汗による不快感に耐える必要がありました。さらに、熱気で保護メガネが曇り視界が悪くなることもあり、緻密な作業を人の手で行う工程において製品の品質に直結しかねない問題でした。細胞療法研究開発センターでは細胞の受託製造事業を通じて、今後細胞製剤の品質を向上させていくためには作業環境をより快適にしていくことが必要不可欠であると確信しました。そこで、高機能スポーツウエアや半導体製造向けクリーンウエアで実績をもつオンヨネ株式会社の協力のもと、細胞製剤、ウイルス製剤、抗体医薬の製造等の緻密な作業に適したクリーンウエアの開発に取り組んできました。

開発の内容・成果
今回は、グレードDおよびCエリアで使用可能なミドルウエアとアンダーウエアの組み合わせを開発しました。グレードBエリアに移行する際は、その上から滅菌済み無塵衣を着用する運用(オーバーガウニング)を想定しています。本品の主な特徴は、①独自の素材・レイヤー設計による快適性(暑さ・ムレ対策/皮膚上の湿度改善)と防塵性の両立、向上、②軽量素材による動きやすさ、着衣ストレスの改善、③抗菌性、速乾性の素材による衛生管理・運用のし易さです。当センターで細胞を製造する職員による着用試験、オンヨネ社とFBRIスタッフによる検証と改良を重ねて完成し、既に運用しています。
 アンダーウエアー ポリプロピレン生地>疎水性糸>ポンピング効果による常時 肌面のドライを維持。
 ミドルウエアー   ポリエステル生地>防塵対応>抗菌消臭>吸汗速乾 汗や老廃物のダム機能。

今後の予定
開発品は販売業者を通じて外販できるよう整備を進める予定です。今回の成果は、作業者の環境改善を通じて、製品の品質向上、細胞製造業の労働環境の改善に寄与できると考えております。また、運営コスト(通常管理温度上昇による冷房費用、クリーニング費用)の軽減も見込まれ、製造コスト削減の一助となることを期待しております。細胞療法研究開発センターでは細胞治療を標準医療とするために細胞製造の事業化をミッションの一つに掲げており、今後も実現に向け様々な形で取り組んでまいります。